【池袋でソケットリフト】上顎の骨が少ない場合のインプラント治療|サイナスリフトとの違い

「上顎の骨が少ないので、インプラントは難しいと言われた」
「インプラントをするには大がかりな骨造成が必要と言われた」
「ソケットリフトとサイナスリフトは何が違うの?」
上顎の奥歯にインプラント治療を行う際、このような説明を受けることがあります。
上顎の奥歯には「上顎洞」という空洞があるため、歯を失った後に骨が吸収すると、インプラントを埋入するために必要な骨の高さが不足することがあります。
しかし、
「骨が少ない=インプラントができない」 「骨が少ない=必ず大がかりな骨造成が必要」
とは限りません。
残っている骨の高さや幅、上顎洞の形態、骨質、インプラントの初期固定などをCTで評価し、条件が合えば**ソケットリフト(経歯槽頂上顎洞底挙上術)**という方法を検討できる場合があります。
今回は、ソケットリフトとサイナスリフトの違い、適応をどのように判断するのか、そして当院で実際にソケットリフトと抜歯即時インプラント埋入を組み合わせた症例について解説します。
なぜ上顎の奥歯は「骨が足りない」と言われやすいのか?
上顎の小臼歯・大臼歯の上方には、**上顎洞(じょうがくどう)**と呼ばれる空洞があります。
上顎の奥歯を失うと、
- 歯を支えていた歯槽骨が吸収する
- 上顎洞が下方へ拡大する
- インプラントを埋入できる骨の高さが少なくなる
といった変化が起こることがあります。
インプラントは骨の中に固定するため、十分な骨量がない状態で無理に埋入することはできません。
そこで必要に応じて行われるのが、上顎洞底挙上術です。
上顎洞底挙上術には主に2つのアプローチがあります
上顎洞底挙上術は、大きく分けると、
- ソケットリフト(経歯槽頂アプローチ)
- ラテラルウィンドウ法、いわゆるサイナスリフト
があります。
どちらも上顎洞粘膜を挙上し、インプラントを埋入するために必要な骨量の確保を図る治療ですが、上顎洞へアプローチする方向や適応が異なります。
ソケットリフトとは?
ソケットリフトは、インプラントを埋入する歯槽頂側から上顎洞底へアプローチする方法です。
インプラントを埋入するための形成部位を利用して上顎洞粘膜を挙上し、必要に応じて骨補填材などを使用しながらインプラントを埋入します。
側方から大きなウィンドウを形成する方法と比較すると、適応症例では外科的侵襲を抑えられる可能性があります。
ただし、骨が少なければ何でもソケットリフトで対応できるわけではありません。
残存骨量や上顎洞の解剖学的形態、初期固定を得られるかなどを評価して適応を判断します。
サイナスリフトとは?
一般にサイナスリフトと呼ばれるラテラルウィンドウ法では、上顎洞の側方からアプローチし、上顎洞粘膜を挙上して骨造成を行います。
広い範囲の骨造成が必要な場合や、残存骨量が少ない場合などに検討されます。
一方で、ソケットリフトより手術範囲が大きくなる傾向があるため、どちらの術式が患者さんに適しているかを事前に診断することが重要です。
「残っている骨が5mmならソケットリフト」は絶対的な基準ではありません
ソケットリフトについて調べると、
「骨が5〜7mmあればソケットリフト」
「5mm未満ならサイナスリフト」
といった説明を見かけることがあります。
残存骨高は非常に重要な判断材料ですが、数字だけで術式を決めることはできません。
実際には、
- 残存骨の高さ
- 骨幅
- 骨質
- 上顎洞の形態
- 上顎洞内の隔壁(セプタ)の有無
- 上顎洞粘膜の状態
- 血管の走行
- 埋入予定部位
- インプラントの形状・径・長さ
- 初期固定を得られるか
- 1本なのか複数本なのか
などを総合して判断します。
そのため当院では、CTによる三次元的な診断を重視しています。
インプラント治療で重要な「初期固定」とは?
ソケットリフトとインプラント埋入を同時に行えるかを考える際、重要になる要素の一つが初期固定です。
初期固定とは、インプラントを埋入した直後に得られる機械的な安定性です。
インプラントが骨と結合していくためには、治癒期間中に過度な動揺を起こさない環境をつくる必要があります。
そのため、
「インプラントの長さと同じだけ垂直方向の骨が残っていなければ埋入できない」
と単純に判断するわけではありません。
残存骨の形態や幅、骨質、使用するインプラントのデザイン、埋入方向などを考慮し、適切な初期固定を得られるかを判断します。
当院で行ったソケットリフト+抜歯即時インプラントの症例
ここからは、グランドメゾンデンタルクリニックで実際に治療を行った症例をご紹介します。
この症例では、上顎奥歯のインプラント治療を計画しました。
CTで上顎洞周囲の解剖学的形態を確認したところ、通常の側方アプローチによるサイナスリフトを行う場合に考慮すべき解剖学的条件が認められました。
CTで後上歯槽動脈と上顎洞の形態を確認
上顎洞の側壁付近には、後上歯槽動脈などの血管が走行しています。
また、上顎洞内部には隔壁(セプタ)が存在することがあります。
これらの位置や形態によっては、側方からアプローチする際の手術難易度が上がる場合があります。
そのため、
「骨が少ないからサイナスリフト」
と機械的に決めるのではなく、CT画像から上顎洞全体の解剖学的条件を確認することが重要です。
なぜソケットリフトを選択したのか?
今回の症例では、
- 残存骨の状態
- 上顎洞の形態
- 後上歯槽動脈の位置
- 隔壁の位置
- 抜歯窩の状態
- インプラントの初期固定
などを総合的に評価しました。
その結果、側方から大きくアプローチするのではなく、抜歯窩側から上顎洞底へアプローチするソケットリフトを選択しました。
さらに条件を検討したうえで、抜歯と同時にインプラントを埋入する抜歯即時インプラントを組み合わせています。
「骨が少ないからできない」ではなく、どこで固定を得るかを考える
今回の治療で重要だったポイントの一つが、インプラントの初期固定です。
残存骨の高さだけを見るのではなく、三次元的な骨形態を確認し、インプラント体のデザインや径、埋入位置・方向などを考慮して治療計画を立てました。
当院では、インプラント周囲の骨と軟組織を長期的に安定させることを目的とした考え方も取り入れながら、**「どこに、どの深さで、どの方向にインプラントを埋入するか」**を重視しています。
インプラント治療では、使用するインプラントメーカーだけではなく、診断と治療設計が重要です。
ソケットリフトのメリット
適応となる症例では、
- 上顎洞側壁からの大きなアプローチを避けられる可能性がある
- インプラント埋入と同時に行える場合がある
- 外科的侵襲を抑えられる場合がある
- 症例によっては治療ステップを減らせる場合がある
といったメリットがあります。
ただし、これらは適切な症例を選択した場合の話です。
「ソケットリフトの方がサイナスリフトより優れている」ということではありません。
ソケットリフトのリスク・デメリット
ソケットリフトにもリスクがあります。
代表的なものとして、
- 上顎洞粘膜の穿孔
- 術後の腫脹・疼痛
- 出血
- 感染
- 上顎洞炎
- 骨補填材の移動
- 十分な骨形成が得られない可能性
- インプラントが骨結合しない可能性
などがあります。
また、上顎洞内を直接広く確認する術式ではないため、適応症例を慎重に選ぶことが重要です。
ソケットリフトが適さない場合もあります
例えば、
- 残存骨が著しく少ない
- 初期固定を得ることが難しい
- 広範囲の骨造成が必要
- 上顎洞の状態に問題がある
- 上顎洞粘膜の挙上が難しいと判断される
- 解剖学的条件から別の方法が適している
などの場合には、ラテラルウィンドウ法によるサイナスリフトや、別の治療計画を検討します。
場合によっては、インプラント以外の治療方法も含めて比較します。
ソケットリフトとサイナスリフト、どちらがいい?
これは「どちらが優れているか」ではなく、どちらがその患者さんの状態に適しているかで判断します。
大切なのは、
骨の高さだけで術式を決めないことです。
CTを用いて三次元的に診断し、上顎洞の形態、残存骨、骨質、血管、隔壁、初期固定などを総合して治療方法を選択します。
よくある質問
Q. 骨が少ないと言われてもインプラントはできますか?
可能な場合があります。
骨量が不足していても、ソケットリフト、サイナスリフト、GBRなどの骨造成を組み合わせることでインプラント治療を検討できる場合があります。
ただし、骨量だけでなく上顎洞や全身状態なども含めた診断が必要です。
Q. ソケットリフトは何mmまでできますか?
「○mmまでなら必ずできる」という一律の基準では判断できません。
残存骨高は重要ですが、骨質、骨幅、上顎洞形態、必要な挙上量、初期固定なども含めて適応を判断します。
Q. ソケットリフトは痛いですか?
局所麻酔下で治療を行いますが、術後に腫れや痛み、不快感などが生じることがあります。
程度には個人差があり、手術範囲や治療内容によっても異なります。
Q. 骨造成とインプラントは同時にできますか?
症例によります。
インプラントの初期固定を確保できる場合などでは、上顎洞底挙上とインプラント埋入を同時に行えることがあります。
一方、骨量や局所の状態によっては、骨造成後に治癒期間を設けてからインプラントを埋入する場合があります。
Q. 抜歯した日にインプラントを入れることもできますか?
条件が整っていれば、抜歯即時インプラントを検討できる場合があります。
ただし、感染の状態、残存骨、軟組織、インプラントの初期固定などを評価する必要があり、すべての抜歯部位で行えるわけではありません。
Q. 他院で「骨がないのでインプラントは難しい」と言われました。相談できますか?
可能です。
同じ「骨が少ない」という状態でも、骨が不足している位置や上顎洞の形態は患者さんによって異なります。
CTなどを用いて現在の状態を確認したうえで、ソケットリフト、サイナスリフト、その他の骨造成を含め、治療可能性を検討します。
池袋で「骨が少ない」と言われたインプラント治療をご検討の方へ
上顎奥歯のインプラント治療では、骨の高さが不足していることは珍しくありません。
しかし、
「骨が少ないからインプラントはできない」
と、骨の高さだけで判断できるものでもありません。
一方で、
「ソケットリフトなら簡単にできる」
というものでもありません。
重要なのは、CTで骨と上顎洞の状態を三次元的に把握し、
ソケットリフトが適しているのか、サイナスリフトが適しているのか、そもそも骨造成が必要なのか
を診断することです。
グランドメゾンデンタルクリニックでは、骨量だけでなく、上顎洞の解剖、インプラントの初期固定、埋入位置・深度、周囲の骨・軟組織まで考慮して治療計画を立案しています。
「骨が少ないと言われた」
「サイナスリフトが必要と言われて不安」
「できるだけ外科的な負担を抑えたい」
という方も、まず現在の骨と上顎洞の状態を確認することから始めます。
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この記事の監修
グランドメゾンデンタルクリニック 歯科医師 生野 誠
2014年 九州歯科大学卒業。
慶應義塾大学病院 歯科・口腔外科にて研修。
日本口腔外科学会 認定医。
インプラント治療だけを単独で考えるのではなく、歯周組織、骨、噛み合わせ、残存歯などを含めた診断・治療設計を重視しています。
参考文献
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