Ⅱ級開咬と咬合崩壊に対し、矯正・歯周形成外科・インプラント・審美修復を行った全顎治療症例
転倒によって前歯が折れたことを主訴に来院された、40歳男性の患者様です。
初診時は、破折した前歯を応急的にダイレクトボンディングで修復しました。その後、口腔内全体を精密に検査したところ、Ⅱ級傾向を伴う開咬に加え、奥歯のエンド・ペリオ病変、歯根破折、不適合な補綴物、歯周病など、複数の問題が認められました。
初診時は、破折した前歯を応急的にダイレクトボンディングで修復しました。その後、口腔内全体を精密に検査したところ、Ⅱ級傾向を伴う開咬に加え、奥歯のエンド・ペリオ病変、歯根破折、不適合な補綴物、歯周病など、複数の問題が認められました。
治療前
治療後
| 担当医 | 生野誠 |
|---|---|
| 主訴 | 転倒して前歯が折れたため、治してほしい。 |
| 期間 | 2年6ヶ月 ※治療期間は歯周組織や骨の状態、矯正治療の進行、治癒反応などによって異なります。 |
| 費用 | 総額 約3,600,000円(税込) 費用には、矯正治療、インプラント治療、歯周形成外科、セラミック修復、ダイレクトボンディングなどを含みます。 ※検査内容、使用材料、治療する歯の本数、骨や歯肉の状態によって費用は異なります。 |
| 治療内容 | 1.破折した前歯の応急処置 転倒によって破折した前歯に対し、まずダイレクトボンディングによる応急的な修復を行いました。 見た目と日常生活への影響を早期に改善したうえで、口腔内全体の精密検査を行い、包括的な治療計画を立案しました。 2.歯周病治療と口腔内環境の改善 矯正治療やインプラント治療を安全に進めるため、歯周基本治療を行い、歯肉の炎症やプラークコントロールの改善を図りました。 3.ワイヤー矯正とマウスピース矯正 ワイヤー矯正とマウスピース矯正を組み合わせ、Ⅱ級傾向を伴う開咬と歯列の改善を行いました。 前歯部の被蓋関係を整え、前歯や犬歯が顎運動を誘導するアンテリアガイダンスを付与することで、奥歯に集中していた咬合負担の分散を図りました。 4.結合組織移植術によるルートカバー 歯肉退縮と歯周組織の菲薄化が認められた部位には、結合組織移植術(CTG)を行いました。 露出した歯根面の被覆を図るとともに、歯肉に厚みを持たせ、長期的に安定しやすい歯周環境を目指しました。 5.保存困難歯の抜歯とインプラント治療 エンド・ペリオ病変や歯根破折によって保存が困難と判断した以下の3歯を抜歯し、インプラント治療を行いました。 * 右上7番 * 左下7番 * 右上4番 右上7番と左下7番には、奥歯の咬合支持を回復する目的でインプラントを埋入しました。 右上4番は、アンテリアガイダンスが不足していたことで、本来とは異なる咬合負担を担っていた可能性があり、歯根破折を認めたため抜歯後にインプラント治療を行いました。 これにより、臼歯部のバーティカルストップを確保し、咬合の安定を図りました。 6.前歯部の審美修復と不良補綴物の改善 矯正治療終了後、歯列や咬合に合わせて最終的な修復治療を行いました。 * 右上2番:セラミック修復 * 右上1番:セラミック修復 * 左上1番:セラミック修復 * その他の修復部位:ダイレクトボンディング 不適合な補綴物を改善し、歯の形態、色調、歯列との調和を整えるとともに、前歯部のガイドが機能するように咬合調整を行いました。 ⸻ 治療結果 * 転倒によって破折した前歯の形態を改善 * 開咬の改善 * 前歯部へのアンテリアガイダンスの付与 * 奥歯に集中していた咬合負担の分散 * インプラントによる臼歯部のバーティカルストップの確保 * 歯肉退縮部のルートカバー * 歯周組織の厚みの改善 * 不適合な補綴物の改善 * 前歯部の審美性と機能性の改善 * 口唇を閉じやすい状態への改善 患者様からは、治療後に口が閉じやすくなり、顔貌の変化を感じるとともに、以前より眠りやすくなったとのご感想をいただきました。 |
| 治療に伴うリスク | 矯正治療 * 歯の移動に伴い、痛みや違和感が生じることがあります。 * 装置の装着中は、発音や食事、清掃がしにくくなる場合があります。 * 清掃状態が不十分な場合、虫歯や歯肉炎、歯周病のリスクが高くなります。 * 歯根吸収や歯肉退縮が生じる可能性があります。 * 治療後に保定装置を適切に使用しない場合、後戻りする可能性があります。 * 顎関節や筋肉に一時的な症状が生じる場合があります。 インプラント治療 * 外科処置後に、痛み、腫れ、出血、内出血が生じることがあります。 * 骨や全身状態によっては、インプラントが骨と結合しない場合があります。 * 上顎洞、神経、血管などの周囲組織を損傷する可能性があります。 * 清掃状態や噛み合わせによって、インプラント周囲炎が生じることがあります。 * インプラントや上部構造が破損する可能性があります。 * 天然歯と同様に、長期的な維持には定期的なメンテナンスが必要です。 結合組織移植術 * 移植部および採取部に、痛み、腫れ、出血、内出血が生じることがあります。 * 歯肉の形態や色調が完全に左右対称にならない場合があります。 * 歯肉退縮を完全に被覆できないことがあります。 * 術後に再度歯肉退縮が生じる可能性があります。 セラミック修復・ダイレクトボンディング * セラミックやレジンが欠けたり、割れたり、脱離したりする場合があります。 * ダイレクトボンディングは、経年的に変色や摩耗が生じることがあります。 * 歯を削る処置によって、術後に知覚過敏が生じる場合があります。 * 歯髄の状態によっては、将来的に根管治療が必要になる可能性があります。 * 強い歯ぎしりや食いしばりがある場合、修復物の破損リスクが高くなります。 全顎的な咬合治療 * 顎位や噛み合わせの変化に慣れるまで、違和感が生じる場合があります。 * 治療後も歯ぎしりや食いしばりなどの習癖によって、歯や修復物に負担がかかる可能性があります。 * 治療結果や治癒経過には個人差があり、すべての患者様に同様の結果を保証するものではありません。 |





















そこで、破折した前歯だけを修復するのではなく、ワイヤー矯正とマウスピース矯正を組み合わせて開咬と歯列を改善し、前歯部にアンテリアガイダンスを付与しました。
また、歯肉退縮が認められた部位には結合組織移植術(CTG)によるルートカバーを行い、歯周組織の厚みを確保しました。保存が困難であった歯は抜歯し、インプラント治療によって奥歯のバーティカルストップを再構築しています。
最終的に、不適合な補綴物を除去し、前歯部のセラミック修復とダイレクトボンディングを組み合わせ、機能面と審美面の両方を整えました。
治療後は、前歯で噛み切りやすくなり、奥歯への負担を分散できる咬合を目指すことができました。患者様からは「口が閉じやすくなった」「顔貌が整ったように感じる」「以前よりよく眠れるようになった」とのご感想をいただいています。
※睡眠に関する変化は患者様個人の感想であり、本治療による効果を保証するものではありません。